民事信託(家族信託)を活用した認知症対策・複雑な相続対策

相続の生前対策には、相続税の節税・納税を目的としたものや、相続発生後の相続人(相続を受ける人)のトラブル防止を目的にしたものなど、様々なものがあります。

その方法として、遺言や財産の生前贈与などがあります。また、認知症などにより判断能力が低下してしまった場合に財産の管理を第三者に依頼する方法として、成年後見制度などがあります。

遺言や生前贈与、成年後見では対応できない生前対策

通常の生前対策は、遺言や贈与で十分その目的を果たすことができますが、複雑な相続関係の生前対策や、特殊な生前の財産管理などは遺言や贈与では対応できないケースもあります。

例えば、次のようなケースです。

・自分の資産を二世代に渡って自分の意図した人に相続させる

 → 遺言にはこのような機能がありません。

・贈与した財産を特定の目的のために使ってもらうようにする

 → 贈与した財産の用途を指定することはできません。

このようなケースで有効なのが、最近注目をされ始めている“民事信託(家族信託)”という方法です。

民事信託(家族信託)とは

近年、高齢化率(65歳以上の人が総人口に占める割合)が急上昇しており、日本は「超高齢化社会」と言われています。超高齢化社会の到来により、認知症患者の増加が懸念され、相続対策を考える上でも大きな課題となっています。

認知症などのリスクに対応するため、新しい財産管理の方法として「民事信託(家族信託)」という管理手法が注目されています。

そもそも「信託」とは財産を信頼できる人(あるいは会社)に託し、目的に従って管理・運用・処分などしてもらうことです。

一般的に信託というと信託銀行などで行われるものをイメージされるかもしれませんが、一般の方でも信託を受けること(財産を預かること)が可能で、これらの仕組みを「民事信託」といいます。実際は、家族の間で行われるため「家族信託」といわれることが多いです。

具体的には、高齢の親御さんなどが、認知症などで意志判断能力を失い、資産の売却や活用が法的に難しくなることに備え、事前に親子等で資産の管理、活用ができるように「民事信託契約」を結ぶことで、民事信託(家族信託)が利用できます。

 

民事信託(家族信託)でできること

信託を活用すると、例えば以下のようなことが可能になります。

・親族(例えば未成年の息子や高齢の親)の財産を本人に代わって管理する

・自分が死亡した後に発生する、自分の相続人の相続(二世代先の相続)を指定する

・資産を贈与した後に、贈与された人が無駄遣いしないよう、贈与した人が引き続き贈与した財産を管理する

・子供に贈与したことを、その子供に知らせずに贈与する

民事信託の具体的な活用例

・ケース1 親亡き後に、障がいを持つ子供の生活を保障してほしい

・ケース2 自分の死後、高齢あるいは認知症の配偶者の財産を適切に管理してほしい

・ケース3 自分の死後、財産を妻→息子の順に相続させたい

・ケース4 高齢の親の財産を管理したい

・ケース5 自社株を後継者へ贈与したいが、議決権は引き続き保有したい

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