お墓の中で生きていた長女の戸籍
兄弟の相続の相談に来たAさん。手続きのため戸籍を確認していると、戦時中に亡くなっているはずの長女のBさんが戸籍上今も生存していることになっています。
Bさんの除籍謄本が無い状況では相続手続はできません。
市役所担当課に出向き事情を話したところ、「医師の死亡診断書」、または「死亡した事実を証明できる資料」の提出、それができない場合は、「失踪宣告」をうけるようにとの回答でした。
死亡診断書は取付け不可能であり、失踪宣告も遺族の心情からできないため、お墓の中の納骨壷に俗名または戒名、死亡の年月日と檀家寺の過去帳の記載の確認を提案しました。
相続人二人で納骨壷をお墓から出して調べたところ、Bさんの俗名、死亡年月日、檀家寺が記載されており、写真に撮り市役所へ提出すると、法務局の担当者が納骨壷を確認、その確認書類を市役所に届け、死亡から65年経ってようやく除籍となりました。
当時は戦時中の混乱期であり、市役所の建物焼失と戸籍の滅失、戸籍や届出書類の管理ができなかった例は意外と多いものです。
先祖を大切にする心が、助けてくれた事例でした。改めて供養の大切さを実感しました。