任意後見ケース3

一人暮らしの高齢者で、自分ではまだ元気で援助はいらないと思っているが、訪問販売で高額の買い物などしているようだ。心配したケアマネージャーからの相談で、任意後見契約と任意後見契約が効力を発生させるまでの間の財産管理委任契約を締結した事例

Bさんは、一人暮らしで、年金と預貯金で不自由ない暮らしをしています。最近、足が少し不自由で、要介護認定を受けデイサービスに週1回通っています。昔から気前の良い人で、訪問販売も断れないようです。どうも最近、悪質な業者に引っかかったようで、何10万もする布団や、健康食品を買わされたようだと、ケアマネージャーから相談がありました。


Bさんは、年齢相応に物忘れもありますが、認知症というわけではなく、判断能力もあります。しかし、優しい性格が災いして、財産の管理には不安があります。そのため、将来判断能力が衰えたときに備えた任意後見契約と、現在の財産の管理を一部お手伝いする契約を結ぶことにしました。

任意後見契約は公正証書により作成されるのですが、ひとつの公正証書に財産管理の委任契約と、任意後見契約をあわせたものを作成しました。
現在の財産管理としては、通帳等を預かり、月に二回ほど、一定額をBさんに渡すことにしました。手元に高額の現金や、通帳などを置かないことで、悪質商法の被害を未然に防ごうというものです。
 
任意後見人には、法定後見人と違って取消権がありません。悪質商法の被害を防止するには万全とはいえませんが、自己決定の尊重に重点を置いた制度といえるでしょう。
 

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