遺言ケース4【失敗事例】
遺言がなかったための失敗事例
夫を亡くしたAさん(60歳)には、子供がいませんでした。
夫の親も既に亡くなっています。
夫の残した財産といえば、自宅(2000万円)と現金(1000万円)とAさんが受取人となっていた生命保険(1000万円)。遺言書はありませんでしたが、Aさんは当然自分が全て相続できるものだと思っていました。
ところが、しばらくして夫の兄から「自分も4分の1は相続する権利があるはずだから、急いで1000万円用意してほしい」と申し出がありAさんは困惑。弁護士に相談してみたところ、「遺言書が無いのであれば法定相続分通り4分の1を義兄に支払わないといけない」と言われてしまいました。
ただし、生命保険は受取人であるAさん固有の財産とみなされるため、この場合は3000万円(自宅2,000万円+現金1,000万円)の4分の1にあたる750万円が義兄の相続分となりました。
上記のようなトラブルの防止策
このケースで言えば、夫は「全財産を妻Aに相続させる」という遺言書を書いておくべきでした。
そうすれば、兄弟には遺留分もありませんので全財産をAさんが相続可能となったのです。
このように子供のいない夫婦の場合で、かつ親や兄弟が居るケースでは、遺言書が無ければ配偶者だけではなく親や兄弟にも相続権が発生します。
財産を配偶者に全て渡したいと思うは、遺言書は必ず書いておかなくてはいけません。